スーパーの駐車場で空き待ちでクルマをとめてると、知らないじいしゃんが手を振りながら近づいてきた。
じいしゃんの顔がえらく真剣だったんで、なんか、やっちまったかと思ってきょろきょろしてしまった。
「こりゃあ、550の2サイクル(エンジン)か?」
ヤギひげ、カンカン帽に短パン。えらくおしゃれなじいしゃんだった。
「はあ、そうですが」と、答えてからっちゅうもの、話がもりあがっちゃってもうたいへん。
クルマを駐車して2〜30分は立ち話をした。
じいしゃんは、57年式のを新車で買って、26年間乗ったそうな。
それも、当時としてもめずらしいキャンバスドア。ドア全部がキャンバス地で、それをはずすと棒きれ一本になるヤツ。
全塗装で色を4回変えて、最後はめだつ色と思うて黄色にしたとか、テント屋にオーダーでホロを何種類も作ってもらったとか、センターピラーをチョップしたとか、すごいうれしそうに話してくれた。
最後はなじみのクルマ屋の社長にゆずってほしい、ぜひにと言われ、そろそろ潮時かと思って手放したそうな。
いまでもそのクルマが走ってるなら、所有者んとこまで見に行きたいと言いよった。懐かしそうゆうよりは、すこし寂しそうだった。
自分(わし)のクルマは、まえから時々駐車されてんのを見かけてて、ホロが新しくなってるだの、エンジンは大丈夫なんじゃろかなど、興味持って見ててくれてたそうな。
(このクルマを)大事にせえよ、と何べんも言われた。
で最後に、「板金に出してやってくれ」。
そりゃあじいしゃん、悪いけどもう手遅れ。おっしゃるとおりボディはサビだらけ穴だらけなんじゃけど、とっくの昔に板金屋には相談してて、"鉄板の中身がさびてサンドイッチみたいになっと"るから、板金するのは無理、無駄と引導わたされとるんよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿