どうやって知ったのか忘れてしまったが、表紙を毎巻漆原友紀さんが描いてて、文庫版3巻に漆原さんのインタビューが載っている。
それではと調べて、インタビューが載ってるのは文庫版の3巻だけとわかった。書店でハードカバー版をめくって確かめた。
けっきょくいきなり、文庫本の3巻を買ってきて読むことにした。動機が不純である。
小野不由美さんはじぶんが好きな山田章博さんがよく表紙描いとんなあ、ぐらいしか知らなかった。十二国記とか。
やっと本題の感想。
いきなり3巻からでまったく問題なくおもしろかった。一話完結の短編集。どれも怖いが怖いことが一番の気持ちでなかった。怪異を退治したり、怪異に復讐したりすんではなく、適度に間を置くという毎回の終わり。それが心地よかった。蟲師にも通じる感想かな。ただし、めちゃくちゃ怖い人間がちらほら出る。怪異めじゃないぐらいにめちゃくちゃ怖い。
経過も結末もすべてを語ろうとしないとこがよかった。とかくこうだったんですよと説明したくなるもんな気がするが、知りたいところがそのまま置いてかれる。結末も終わりに向かうとこでふつっと終わる。
こっからネタバレ有り注意。
一番しみた話は「骸(むくろ)の浜」。読んでる間すごく苦しくて、最後に主人公に重ねて、解放されて幸せな気持ちになれた。涙がにじむぐらいに感動した。
家に帰ろうとする死者と、それを手助けしようとする人の話。
思い出したんは、神功皇后の征西のエピソード。いよいよ子を生むとなった皇后が、ひとり海岸に向かった。出産は強烈なけがれを伴う行為だったので、たったひとりで成し遂げるしかないのか。と、なったときに、けがれをいとわない土地の神々が現れて、出産を手伝ったそうな。記紀の原文を読んだんでなくて、宮田登さんの著作で読んだ気がする。そのような神さまこそありがたい気がするし、サウイフモノニ・ワタシハナリタイ。
「営繕かるかや怪異譚 その参 」(角川文庫)
小野 不由美 (著)
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2025/6/17