ういしょっとドアをあけて店に入ると、お客さんがめずらしく少なくて。ロッテリアのカウンターに、嬢ちゃんと店長と、おまけに裏方くんまで並んでいた。みんないっせいにこっち向いてにっこり、いらっしゃいませ。
カウンターに近づくと、店長と嬢ちゃんがいっしょに、"コーヒー? コーヒー?"、"シェイキ? あっ、コーヒー? コーヒー?"と、小さい声で繰り返している。ずーっと顔見たまま。さいしょクチパクだったのが、自分が近づくにつれ、声がすこしずつ大きくなる。ふたりとも、すげーうれしそうだ。
イヌが目があって、"ぼく? なに?"、"あそぶ? あそぶ? あそぶ?"と、ハテナとうれしさでもうしんぼうたまらん、となってるときの目だった。
"じゃ、コーヒー"
"あ〜、コーヒーね" "夏でも(ホット)コーヒーですよねえ"
(あー、そーかそーか…)
店長も嬢ちゃんも、そろってぽっちゃり、マトリョーシカ体形。で、ならんでにこにこ笑っている。
ハンプティダンプティかい、と思うが、ちょいはなれてならんでる兄ちゃんも、おなじくぽっちゃり系。
二人でなく三人いる場合は、なんちゅうんでしょうねえ。
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