あさ一番に上司から、玄関前の山桃の木を点検してこいと指令が出た。
葉っぱが食いあらされてるんで"オコゼ"かなんか、毒毛虫がいるにちがいない、お客さんが刺されちゃあいけんので排除せよ、とのこと。
あー裏手の山桃にも、イラガの幼虫(通称"オコゼ")がおったなあ、と考えながら同僚の兄ちゃんと玄関にむかった。
で、木を見ると、やっぱおったわ…。
毛虫自体はもうおらんのんじゃけど、木の幹にびっしりとイラガの繭(まゆ)のカラがついていた。あーあ。
イラガの幼虫に刺されると超イタイし、めちゃめちゃ腫れる。で、またの名を"電気ムシ"。色は蛍光グリーンで、アンテナのような注射針が頭と尻に立っている。
その毒々しい姿を見て毒ないかも、と考えるヒトは絶対にいない。じゃけど、葉っぱのうらに隠れてるんで、むかし気がつかずに刺されたことがある。
「え? なんですか、どこですか?」と言ってる兄ちゃんを尻目に、地べたから石ころを拾って、マユのカラをかたはしから落としはじめた。
ほとんどは抜けガラだったが、巧妙に擬態した具入りのマユを発見。はがして得意げに兄ちゃんに見せた。
カラの中には、色が蛍光よりおとなしくなった幼虫がちじこまって入っていた。まだ幼虫の形をしていた。
お客さんが来ない日に、がんばってマユをかたはしから落とそう、ゆう話をして事務室に引きあげた。
マユはじかにさわったらさすがにやばそうなんで、カラを左手の人差し指と親指ではさんで持ち歩き、同じ係の嬢ちゃんに見せ、上司にコレでしたと報告した。自慢げに。
得意げに持ち歩いてて、嬢ちゃんに、いつまで持ってんすか、ゆわれて左腕を見ると、ジンマシンみたいなぼつぼつがぽこぽことできてて、色も赤くなりはじめていた。
「いーやー、エンガチョ」ゆうて同僚がいっせいに引いてしまった。やば、やられた。マユになってるからと油断してしまった。
マユはカラからはずしてしばらく観察したあと、"まんまんちゃん、あん"と念仏となえて処分した。これで自分が地獄に落ちたときも、天から糸がたれてくることはもうないわ。
それからもう9時間ぐらいたってどうなっとるかというと、ぽこぽこはつながって、でっかくて赤い腫れが、ぼよーんと三つぐらいできている。で、右手にもちっさいハレが一つ。痛くはないがぴりぴりとかゆい。
おおげさですが、色の変わった腕を見よったら、"もののけ姫"の冒頭を思い出しました。たたりガミのサワりで腕に…、ゆうとこです。左上腕のけっこうな面積が赤くなっとりやす。
でも来週には、こんなもんじゃあない大殺戮をするつもりなんすけどね。まぢで祟(たた)られそうな気がしてきた。
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