江戸以前、がちがちに制度で固められる前の、農業以外を生業にしてるヒトに興味があった。
んだけど、はずかしながら職人歌合とよばれるものが、いつの時代ので、現存何種類あるかすら知らなかった。あやうくえらい高価な古書を買ってしまいそうでヤバかった。
で、自分としてはこの本を最初にえらんで正解だった。白拍子とか双六とか、大河ドラマの清盛のイメージが残っとるのもえかったし。
網野せんせの本にしては、すごく読みやすかった。岩波の古典講座で講義されたのに加筆して出版されたものだそうな。
そのぶん薄味ゆう感じもしたが、4種5作品の歌合せに話が絞り込まれてて、それらや時代が下ってからの同類の本や、はては外国との比較で、職人、芸能の受け取られ方が変わってゆくのがやわらかく説明されてわかりやすかった。挿絵も多く用意してくれとったし。(フグリまるだしの博打の表紙はけっさくでしたな)
せんせは、まだまだはじまりですよ、仮説ですよ、という言い方をされておられたが、すんなり胸におちる話が多かったような気がする。"異形の…"なんかは、驚かされるばっかりじゃったけど。
さげすまれ差別を受けてるヒトに、なぜ晴れの日その他に、聖なるものに呼びかけたり、不浄なものをはらったりするスーパーな力があると、さげすんでるはずのヒトビトが考えるのか。すごい矛盾に思ってて、いまだに自分の中にかっちりとした理屈を作れていない。
この本で、ほんの少しではあるけれど、聖なるもんが賎にかわってゆく様子が見えたような気がした。学校で習った知識から、江戸時代が大きな転換と思いよったんじゃけど、中世から中世のおわり、それから明治がゲキテキな境目だったんだろうか?
初出はもう20年も前で、先生も残念ながら故人になられてしまった。でもこの本でせんせがくりかえし希望されていたように、いまはどんどん研究が進んでるんだろうと思う。
さて、つぎはどこに(どんな本に)行きましょうか。
"職人歌合"
網野善彦/著
平凡社/平凡社ライブラリー
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