2013年10月6日日曜日

おやじ やくたたんし

 雨がそぼそぼと降る中を、塾に娘迎えに行った。

 傘をさして玄関前につっ立ってると、塾の講師が、どうぞなかで待ってと言ってくれた。たいした雨じゃなかったが、風があって腰からしたがじっとりと濡れてきて、つらいわと思っていた。

 これはありがたい遠慮なく、とロビーにはいった。

 イスに腰かけてポーチから携帯ゲーム機をだして遊びはじめた。すぐに小学生がよってきた。

女の子:あー、これ知っとる。
男の子:すれちがいナンチャラ、ゆうやつじゃろ。

わし:あーそーそー。こんなん塾に持ってきたらいけんのんで。

 なんつーて言いながら、子どもらがのぞきこんでる中でゲームをしてた。

 ときどきエレベータが降りてきて、小中学生が吐き出される。そのたびに目をさらのようにして娘をさがしたが、なかなか降りてこない。

 その間、ゲーム続けたり、みょうにひとなつこい小学生の話あいてしたりして時間をつぶしてたが、いいかげんロビーの子どもらも減ってきて、閑散としてきた。

 ところで電話がなった。自宅から。

娘:もしもし。
わし:あれ? 家に帰っとるん?
娘:そお。父さん、いまどこ?
わし:…。いま塾。中にすわっとったんじゃけど、気がつかなんだ? (娘:ぜんぜん。)

 ハズカシ、と思いながら、塾のセンセーがたにへこへこ会釈をしながら塾を出た。

 エレベータがつくたびに必死で見よったんじゃけどなあ。おかしいなあ。

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