2011年1月15日土曜日

ふるい商店街にて

家族との待ち合わせの時間に間があったので、むかしから知っているお店をたずねて、商店街に行った。年に1~2度、行くか行かんかじゃけど、20年前から知っている。

商店街というよりも、ふるいふるい市場で、戦後の闇市がそのまま生き残ってんじゃないか、ちゅうくらいのところ。時間帯がおそいこともあって、シャッターをしめてる店が多かった。

たずねてはみたものの、目当てのお店はどうみても、「もうやってません」ゆう雰囲気だった。
シャッターの前には、さびたマガジンスタンドが置きっぱなしで、屋根は雨もりするのか、ブルーシートがかけられてた。

マチは生きてるんだから、変わっていくのはしかたがないが、またなじみの店が消えたかと思うと、さびしくなった。

しかたなしに、商店街を出て、大型書店に入った。

書店で衝動買いをしてしまい(マンガの中古本7冊)、「やっぱ本棚にならんでるの見ると、買(こ)うてしまうな」、などと頭んなかでぶつぶつ言いながら出てくると、目当てのお店が、「いま店をあけようとしてます」ちゅう状態で止まっていた。マガジンスタンドが横によけられて、シャッターがあいていた。
しかし店内は電気もついてなくて真っ暗で、入り口もカギがかかっていた。

時間があったので、お店の前で、”おばちゃん”の帰りを待ってみることにした。

雪がしんしんと降ってて、めちゃ寒い。
タバコ吸ったり、空を見あげたりして、ぼーっとしていた。

となりのお店は飲み屋だったが、いまどきめずらしい立ち飲み屋だった。客は屋外で立って飲んでいる。くっそサブいのに、お客はけっこういた。

しばらくすると、若い兄ちゃんが、小走りに走ってきた。

「景品交換所知らん?」

手にネクタイピンとか持っている。
「交換所も知らんと打ちよったんかい」と思ったが、自分もここのパチンコ屋の交換所は知らない。

立ち飲み屋の兄ちゃんが外に出ていたので、おーい、と声をかけて聞いてみた。
「そこ右に曲がってすぐ左です」、と元気よく答えてくれた。

若い兄ちゃんは、礼を言って、小走りに交換所に入っていった。

おばちゃんは、帰ってこない。

またさっきの兄ちゃんが小走りに走ってきた。

「自転車のカギ、落ちとらんかった?」
「いや、見とらんよ」

「どこ、落としたんじゃろうか」と兄ちゃんは、きょろきょろしながら、通りの向こうに行ってしまった。

おばちゃんは、帰ってこない。

また、兄ちゃんが、自分の前を通って行った。満面の笑みでつきだした手には、自転車のカギが握られてた。

「あった!」
「えかったねえ」

30分ぐらい寒空のしたで待ってたが、けっきょく、おばちゃんは帰ってこなかった。
お店があるのがわかったから、まっええか。

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