家族との待ち合わせの時間に間があったので、むかしから知っているお店をたずねて、商店街に行った。年に1~2度、行くか行かんかじゃけど、20年前から知っている。
商店街というよりも、ふるいふるい市場で、戦後の闇市がそのまま生き残ってんじゃないか、ちゅうくらいのところ。時間帯がおそいこともあって、シャッターをしめてる店が多かった。
たずねてはみたものの、目当てのお店はどうみても、「もうやってません」ゆう雰囲気だった。
シャッターの前には、さびたマガジンスタンドが置きっぱなしで、屋根は雨もりするのか、ブルーシートがかけられてた。
マチは生きてるんだから、変わっていくのはしかたがないが、またなじみの店が消えたかと思うと、さびしくなった。
しかたなしに、商店街を出て、大型書店に入った。
書店で衝動買いをしてしまい(マンガの中古本7冊)、「やっぱ本棚にならんでるの見ると、買(こ)うてしまうな」、などと頭んなかでぶつぶつ言いながら出てくると、目当てのお店が、「いま店をあけようとしてます」ちゅう状態で止まっていた。マガジンスタンドが横によけられて、シャッターがあいていた。
しかし店内は電気もついてなくて真っ暗で、入り口もカギがかかっていた。
時間があったので、お店の前で、”おばちゃん”の帰りを待ってみることにした。
雪がしんしんと降ってて、めちゃ寒い。
タバコ吸ったり、空を見あげたりして、ぼーっとしていた。
となりのお店は飲み屋だったが、いまどきめずらしい立ち飲み屋だった。客は屋外で立って飲んでいる。くっそサブいのに、お客はけっこういた。
しばらくすると、若い兄ちゃんが、小走りに走ってきた。
「景品交換所知らん?」
手にネクタイピンとか持っている。
「交換所も知らんと打ちよったんかい」と思ったが、自分もここのパチンコ屋の交換所は知らない。
立ち飲み屋の兄ちゃんが外に出ていたので、おーい、と声をかけて聞いてみた。
「そこ右に曲がってすぐ左です」、と元気よく答えてくれた。
若い兄ちゃんは、礼を言って、小走りに交換所に入っていった。
おばちゃんは、帰ってこない。
またさっきの兄ちゃんが小走りに走ってきた。
「自転車のカギ、落ちとらんかった?」
「いや、見とらんよ」
「どこ、落としたんじゃろうか」と兄ちゃんは、きょろきょろしながら、通りの向こうに行ってしまった。
おばちゃんは、帰ってこない。
また、兄ちゃんが、自分の前を通って行った。満面の笑みでつきだした手には、自転車のカギが握られてた。
「あった!」
「えかったねえ」
30分ぐらい寒空のしたで待ってたが、けっきょく、おばちゃんは帰ってこなかった。
お店があるのがわかったから、まっええか。
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