妻が、「お茶(おやつ)にするよ」とゆうと。
家族全員が、大きめのちゃぶ台に集まってくる。この日は息子の友人も来ていた。りちぎにお茶菓子まで用意して持ってきた。
ちゃぶ台を、息子、その友人、妻、娘、自分が囲んで、コーヒーやジュースを飲みながら菓子やドーナツを食べている。
ふしぎな光景であるが、息子の友人もぜんぜん馴染んでるし、うちら一家も息子の友人が来てるからと遠慮することはない。
息子らは、もう高校生なんじゃけど。
テレビはつけっぱなしで、Wiiのニンテンドーチャンネルか何かを流していた。
息子の友人が3DSに、"バイオハザード"の体験版を入れてるとの話になり、宣伝の映像を見てみよう、ゆうことになった。
闇にまぎれて、特殊部隊とおぼしきチームがボートで、客船だか貨物船だか、でっかい船にこぎよせてゆく。
船ん中には、ガスマスクで顔をおおったなぞの人物がいて、なにやらろうろうと語っていた。
"バイオハザード"って、アンデッド(ゾンビ)を殺戮したりされたりするゲームと思ってたが、ガスマスクの人物は、どーみても知的レベルの高い人間だった。なんじゃ?
ちゃぶ台のポテチに目をもどして、子どもらと競うようにむさぼり食う。ボウルに盛られたポテトチップが、すごいいきおいで減っていた。
ふと目をあげると、ガスマスクのおっさんはまだなにやら語っている。
と、ガスマスクに手をかけて、はぎとった。その顔を見た瞬間。
「スティーブ・ジョブスだ!」
と、自分が叫ぶと。
「いや、ちがうて」
息子と友人が、ばっとこっちを振り返って言った。
妻と娘は…、まったく無反応だった。知らんのか?
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