サンタの衣装を赤白にしたのは、コカ・コーラだそうな。
その赤白サンタがマチにあふれるようになると、いつも思い出す映画がある。そうして、目のおくが熱くなるぐらいに、悲しいきもちになる。
"コカコーラ・キッド"
時代にそぐわず、世界にそぐわない、独裁者が統(す)べる奇妙なユートピアが、映画の中でえがかれる。
そのユートピアが、合理的で、力強くつねに前進する、そして傲慢な、自由主義・資本主義の社会と接触する。
傲慢な自由主義・資本主義が、奇妙なユートピアにシンパシーをいだき、奇妙なユートピアは、時代に流されたわけでなく、自由主義・資本主義にも理解をしめしたように近づき、ふたつの社会は接触する。
異なるものの、幸せな共生がはじまるかと思われたが、奇妙なユートピアは、はげしく炎をあげるかたまりになり、一瞬で消えて映画は終わる。ものにふれたシャボン玉が、ポフッと消えちゃうように。
映画を作った男は、自分をいられなくした、自分を異郷へと追いやったクニを、それでも愛していたのだと、勝手に自分は思っている。条件つきの愛ではなくて、独裁者の統べる奇妙なクニのままで。
男はクニに帰り暮らすことはなかった。なぜなら、そのクニは世界から消えてしまったから。
その男の名は、"デュシャン・マカヴェイエフ"。そして、独裁者が統治していた、奇妙なユートピアの名は、"ユーゴスラヴィア"。
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