予想外にぶ厚い、辞書かいなゆう本がとどいてびびった。が、順調に読み進めてあと1cm、いや数mm。
ところがこの残りの1cm弱が怖くて、読むスピードが落ちてしまった。
ヒトが犬に変わる変身譚、奇譚だけれど、それはじぶんにはまったく抵抗もなくて、すんなり胸に落ちた。
見知らぬ犬にでも認識されたい、ちょっかい出したい。でも押しつけがましくないかびくびく、ゆうのはいつもじぶんがやってることなんで笑ってしまった。通勤でクルマを運転してても、犬の散歩をしてると首を振ってでも見てしまう。
きれいなお嬢さんが歩いてると前のクルマにオカマほりそうになりながらでも見ちゃう、それとおなじかそれ以上である。
重要なテーマのセクシュアリティーについては、じぶんはちょい変わってるとはいえマジョリティーの方で(たぶん)、おまけに氏の言われるところの"性器結合中心主義"者なもんで、耳にいたい話がちらほら。
妙にまの抜けた緊張感のない、不思議空間でのオオカミとイヌの会話が好きだった。オオカミが完全無敵でないとこも。
性表現もおっさんだけにびびるわけでなし、きっつい登場人物の状況にも、いきどおりは覚えるけど、聞いたこともないヒドイわ、とショックを受けることもなし。たんたんと読んできた。
それが残りあとわずかゆうとこで突然怖くなった。
主人公(主犬公?)の感じ方とじぶんの微妙なずれとか、みょうにあまったるい静けさとか。動きはじめた世界とか。いろいろなもんから(実は説明できね)、終末の大きな悲劇が予感されて怖い。主人公の、心配はつきないけど幸せな生活が寸断されるのが怖い。
この作家さんの本を読むのは初めてなんじゃけど、かまととぶったあまい終わりかたをするわけがないことは充分にわかっている。
では、いざいざ、覚悟をきめて終末の章へ。
"犬身"松浦 理英子 (著)
出版社: 朝日新聞社 (2007/10/5)
本の寸法: 19 x 13.2 x 4.2 cm!?(512ページ)
Amazonの情報より
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