えー、監視をつづけるわたし。
国を守る若い力の、電子戦機だか対潜哨戒機だかがぐるぐるタッチアンドゴーをやっとるのを、ぼーっと缶コーヒー飲んだりタバコ吸ったりしながらながめていた。
コーヒーが効いたものか、つよくなった風で体が冷えたものか、自然が呼んでがまんできんくなったので、埠頭をはなれ、小用をたしに近場の塀ぎわの茂みに行った。
じょろじょろと用をたしてると、足元の草っぱにシオカラトンボがとまっている。そのよこをぶぶーんとアシナガバチがよってきた。じぶんのジーンズにまとわりつくようによってきたのを目で追ってると、ばすっと音がして左足を踏みぬいた。
壁ぎわの側溝が部分的にぬけて、板切れかなんかでふさがれてたらしい。
左腕を見ると、とげの生えた植物でばりばりに傷がついて血が出てることもあった。
油断してしまった。
監視活動には危険がつきものである。
日が高くなるにつれて釣り人はひとりふたりと減っていき、いまは二人だけ。
ぼーっとしてる時間がながくて、なにしにきたか目的を忘れそうである。
米軍機は1時間以上前にあがったホーネット1機だけ。
うすぐもりで日はさしているが、風が強くて涼しい。
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