熱いコーヒーをすすりながら、ポチポチと携帯でブログの記事を打っていた。
ふと顔をあげると、店の窓の外、駅構内に、じいちゃんが立っているのが見えた。
背はくの字に曲がっており、顔が腰のあたりまで落ちていた。
ひざはまっすぐ伸びており、ほとんど二つ折り状態。
大丈夫かいな、と思ってじいっと見ていたが、ふらつくどころか、微動だにしない。
パンフレットスタンドにならべられた旅行パンフを見ているように見えたが、わからない。
しばらくじいっと見ていたが、いっこうに動く様子がない。「倒れそうなわけじゃないんじゃ」と思ったので、また携帯をポチポチと打ち始めた。
時間がたって顔をあげると、びっくりした。
じいちゃんがまだそこに立っていることにではなくて、さらに腰が曲がっていることに。
あいかわらずひざは伸びてて、顔はもうひざのへんだった。体育測定の"前屈"の状態。正直、異様な光景だった。
じいと見ているが、やっぱり動かない。ふらつきもしない。
一生懸命、目をこらしてみていると、じいちゃんの顔の前のへんで、何やら紙片がひらひらしているのが見えた。
紙を開こうとしているのか、たたもうとしているのか、はたまた、見ようとして持ち変えているのか、まったくわからない。手が動いていることすら、自分の近眼のせいでわからなかった。
しばらく時間が流れて・・・。
じいちゃんが、その紙片を床に置いているカバンに、ごそごそと入れ始めた。
「おー、いよいよ動くぞ」と思い見ていたが、すばらしく動きが遅い。
床の荷物を持ち、立てかけていた杖を手にするまで、発進準備が整うまでに、結構な時間が流れた。
そしていよいよ、ふらっとじいちゃんの上半身がゆれて、一歩ふみ出すぞ、というところで、OLの姉さんが、じいちゃんの前を横切ってしまった。
じいちゃんは、また動かなくなった。気をためているとかチャクラをねっているようにも見えた。じっと、改札口のほうをむいたまま動かない。
またふらっと、じいちゃんの体がゆれた、と思ったら、しゃかしゃかしゃかと、ものすごく小さな歩幅ながら、おどろくほどのスピードで改札口にむかって行ってしまい、視界から消えた。
パーキンソンのヒトの突進のようだったが、左右の足はバランスよく出ていたので違うんだろう。
一歩ふみ出すのにエネルギーがいるだけでなく、進行方向が、完全にクリアーになるのをじいちゃんは待っていたのかもしれない。
「そうか、あの勢いが必要だったのか」、と大いに納得(満足)して、ぽちぽちと、また携帯を打ち始めた。
※表題に重要な誤りがあります。やじ馬根性の好奇心により眺めていただけなので、これは世間で評判の"みまもり"ではなく、単なる"観察"です。おわびして、訂正いたします。
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