2010年11月4日木曜日

リアルしょうどう

 ギャンブルはまったくやらないが、オークションが大好き。
 オークションにギャンブル性があって、そこがおもしろいんだが。

 で、毎日、なんぞいいもんがないかと、オークションを、物色してまわっている。

 文化の日で祝日の、きのうのこと。

 午前中に、なんかひっかかってないかと、アラートをのぞいたが、おもしろいもんは、なんもなかった。
 アラートは、なん十件もしかけているが、なかなかお宝はひっかからない。
 現実に、存在してないかも、ゆうもんも、期待をこめてアラートにしかけたりするもんで、上限いっぱいでもう登録できません、などといわれたりする。

 午后になって、またソファーに寝そべって、アラートをみにいった。

 すると、ながくさがし続けていた古本が、ばばーんとひっかかってるではなひか。
 本は、宮本常一さんの、「私の日本地図4 瀬戸内海1広島湾付近」。

 すげー興奮して、すぐにそのページにいって、札をいれ、それからウォッチリストに入れた。
 自分が一番のりだったことに、すごい満足した。

 ふーっ、と一息ついて、またアラートのページにもどった。

 自分のさがしていた、"私の日本地図"のシリーズが、もう一冊ひっかかっていたので、どこの地方の話なんじゃろと思いながら、そいつをみにいった。

 すると、『開始価格:8,000円』、と書かれていることに気がついた。

 8,000円・・・。
 払えん額じゃないが、しゃれにならん。青くなった。

 薄っぺらな知識と、きわめて低いモチベーションの自分には、8,000円の価値がない。
 自分にとって、その本の価値は、そんなにあるわけがない。
 本に価値がないんじゃなくて、自分に8,000円の価値がない。

 残り少ない貯金のことを考えながら、すんごいびびりながら、札を入れた本のオークションをみに行った。

 『開始価格:2,000円』、と書かれていた。

 しんそこ、安心した。
 こんぐらいなら大丈夫だ、と自分にいいきかせた。


 でも、同じシリーズの本で、このスタート価格の差はなんなんでせうか。
 2,000円とはいえ、元値は500円台。自分が生まれたころの本の価格として、高いんやら安いんやら、まったくわからん。
 それに、このての古書は、きっちりと値段が決まっている。古書店のカタログには、値段なんぼ、と明記されているはずである。
 よって、そのまま無風状態で、自分以外だれも札を入れんままにオークションが終わるとはかぎらない。

 ずいぶんさがして、やっと見つけた本。ここで逃すわけにはいかねへ。
 オークション終了まぎわに、ライバルがあらわれたら、我を忘れそうで恐ろしい。

 何年か、オークションで遊んできて、やっとわかってきた"コツ"がある。
 それは、"負けるが勝ち"ゆうこと。我を忘れて、ムキんなって札を入れてると、とんでもない値段になる。
 それに、二度と出てこない商品はない。ずーっと待ってれば、またいつかは、必ず、いい値段で出てくるもんである。


 でも、ほしいもんはほしい。
 尊敬する先輩に、学生時代にいわれた言葉がある。

 「あとで買う本なら、いま買え!」

 実践しよったら、ぜったい破産するね。

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