神楽、「悪狐伝(あっこでん)」のラスト。
客席を走りまわるは、はやし方の大太鼓のうえに立つわで、おお暴れした白いキツネが、武者ふたりにとどめをさされ、大きくのけぞって幕の向うに倒れこんで消える。
キツネ退治がおわり、武者ふたりが優雅な舞いをはじめたところで、「もっと舞え」、ゆうことで、キツネが舞台にけりだされてくる。
でまた、そーれそーれっ、とがんがん舞って、キツネ、切り伏せられ消える。
キツネ、また転がりだされる。死ねない。
キツネ、幕下のすき間からすべりこもうとするが、ぎっちりガードされててはいれない。
これを何度かくり返すと、武者もキツネもへろへろ。
はやし方が、そーれ、そーれ、とうながすが、がっくり下をむいたまま、肩で息してすぐには動けない。
それでも、どんどん加速してゆく太鼓と笛の音(ね)にあわせて、舞いも加速してゆく。
切り伏せられたキツネが幕の向うに消えたが、しばらくすると、がばっと、また幕が開かれた。
すると、キツネが、舞台の真ん中でまるまって死んでいる。
ゆうか、死ねないんじゃけど、キツネ、転がったままぴくりとも動かない。
武者もへろへろだが、なんとか回復。キツネにけりを入れる。
こんしんの舞いを、キツネと武者ふたりの三人で舞い、大きな拍手を受け、やっとキツネは死んだ。死ねた。
武者が、四方をはらうような、優雅な舞いを舞い、演目をしめくくる。
武者のひとりは、烏帽子(えぼし)がどっかにいっとったけど・・・。
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