2011年9月30日金曜日

きんもくせい

 車の窓をあけはなって、とことこと走ると、いろんなものが見える。窓をしめてても見えないわけじゃないが、エアコンかけて窓しめて走ってると、外の景色が少しだけ遠くに見える。

 窓をあけて走ると、いろいろな音がよく聞こえるし、においまでする。車んなかと外が、ひとつながりになってるような気がする。

 鳥のなく声、草の葉のにおい、自分の車の排ガスのにおい、潮のにおい。ドブ川のなつかしいにおいがすることもあるし、田舎の香水がかおることもある。

 おとついは、窓だけでなく、屋根までとっぱらって走ったので、360度、いろんなとっから音やにおいがした。
 頭の真上でトンビのピーヒョロロが聞こえ、港ではニャーニャー海鳥がないていた。いたるところで草刈ってたので、草っ葉のにおいもよくした。海産物のお土産屋さんの前を通ると、鼻がまがるぐらいに乾物のにおいがした。

 で、島の中をとことこと走っていると、ときどきキンモクセイの花のにおいがした。ような気がした。「あれっ」と思うと、すぐに消えてしまう。気のせいか、と思うと、またかすかににおう、気がする。
 みまわしても、オレンジのちっこい花をつけた木は見あたらなかった。

 きのう、仕事の行き帰り。てくてく歩いてると、やっぱりキンモクセイの花のにおいが、かすかにしたような、気がした。
 でも、ここの木はキンモクセイだぜ、と目をつけてる並木にも花はまだなかった。

 そして今朝のこと。

 ベランダで洗濯を干していると、つよい風にのって、はっきりとキンモクセイのかおりがした。こんどは確信がもてるくらいに、あざやかににおった。

 どっからくるのかはわからんかったけど、「いいにおいだ」と思い、深呼吸をした。

 ああ秋がきたんだなあ、と思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿